善波トンネルの準一くんとTの事故
僕が今住んでいるのは川崎市の国道246号線の近く、その国道246号線を厚木方面にどんどん下っていってさらに厚木を越えて10キロほど行ったところの秦野市に善波トンネルという霊現象で有名な場所があります。
僕が学生の頃、まだここには不気味なメッセージで有名な噂の看板がありました。
その看板には「もう死なないで 準一」と書いてあったのです。
交通量の多い通りに、不気味な看板が建っていたため、噂がうわさを呼びどんどん想像が膨らんで行ったようです。
大学があったのは横浜市の緑区でしたが、バイクや車に乗る友人はたいていこの看板のことを知っていました。
使い回された写真 たしか文字は黄色だったかな
いろんな種類の噂がありますが、どれも信憑性は薄いようです
僕が聞いた話では:
善波トンネルの看板があった場所で準一君がバイクでトラックに跳ねられ死亡、その後準一君の霊が彷徨い、善波トンネルの現場に準一君の霊が出現しトラックが通るとひかれる
何回も死ぬことを繰り返す準一君を哀れに思い、霊がきちんと成仏できるようご両親が建てたというもの
本当かどうかはわかりません。
分かっているのは、この善波トンネルは事故多発地帯だということ
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8月の夏真っ盛りのある日
我々男四人で、夏休みの伊豆白浜に向かいました。
目的地はJの別荘
車は、Tが借りた白のブルーバードセダン。
運転手は私
TとMとJと私の四人で白浜に行くのに、シーズン真っ盛りのため東名高速は大渋滞
仕方がないため、246号で行けるところまで行き、伊豆半島を山岳コースを通って下田まで抜けるというコースをとることにしました。
しかし246号も当然のごとく大渋滞
やっとのことで秦野市辺りまでやってきました。
善波トンネルの手前数百メートルのところだったと思います。
コンビニで休憩して、私も疲れていたので運転をTに代わってもらいました。
そのまま、準一君の看板を過ぎて(この時有ったかどうかは不明)、善波トンネルに入りました
僕は助手席にいましたが、Tが運転しているときに後ろを向いたのか下を見たのか今では覚えていませんが、前を見ない状態でブレーキを離していたのです
前の車がどんどん近付いても止まる気配がないので、僕が叫んだときにはもうすでに時遅く、前の車に追突してしまいました。
(善波トンネルの中なのでこれも霊現象なのでしょうか)
ぶつけてしまった車は、当時大ブームだったハイラックスサーフ130型
こちらは乗用車だったため、背面スペアタイヤの下あたりに潜ってしまった形でぶつかり、ボンネットは真ん中からつぶれています
相手は、四駆で頑丈なこともあり、スペアタイヤの部分がちょっと押された程度だったので、スペアタイヤブラケットが押されボディにエクボが付いた程度ですみました
追突してしまった以上、向こうに落ち度はなくこちらが弁償する立場ですが、幸いにも人格的に良い人だったためぼったくられることなく、請求された額は良心的なものでした。
さて、自走可能だったのでそのまま白浜に向かうのですが、当然借りた車をぶっ潰してしまったTはナーバスになるし、また私が運転することになりました。
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白浜から帰ってから、車をどうするかということで、みんなで話し合いましたが、運転に関わっていなかった二人はまるで他人事のようです。
「素直に謝って弁償するしかないんじゃないか?」
そんな感じでした。
普通に考えて、四人で行ったんだから、ぶつけたのはTだったとしても四人で割って弁償すべきではないかと提案しましたが、二人は「それは違う」という始末
私の提案としては、見たところ損害状況はボンネットだけなので、ボンネット交換すれば元にもどりそうだし解体屋パーツで出来るだけ直して、それから謝ってはどうだろうかというもの。
Tはとりあえず自分にとって都合が良いと判断したのか、私の話に乗ることになりました。
さて、解体屋でパーツ探しです。
今のようにインターネットの無い時代だったので、電話帳でいろんなところに電話しまくり、二子玉川の解体屋に同じ形の車のボンネットが有ることが判明、色は指定できないとのこと
行ってみると、運の良いことに同じ色のボンネットでした。
さっそくお店の人にも手伝ってもらってボンネット交換です。
そして完成!
元通りにもどりました!!
Tがブルーバードの持ち主に謝ったら、もともとボロイ車だったからボンネットがきれいになって良かったよ、とのこと
細かいことを気にするタイプでない人で幸いでした。
後日、Tがこの出来事をTの友人Dに話したら、Dはこの措置を理由はわからないけど気に入らなかったようで、Tに対して何か怒っていたらしい(Dはこの件にはまったく関係ないんですけど)
我々の善波トンネルの怪事件はこうして決着したのでした。