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恐怖の口裂け女

 これは小学校の時のお話

 その時、日本中を震撼させた口裂け女という妖怪というか、なんともいえない恐ろしい存在の噂が日本中を駆け巡りました。
 
 小学校の体育の時間、座りながらみんなが口裂け女について話していました。

 例によって、情報の遅い私はその時に初めて口裂け女の話を聞いたのですが、みんなはすでに知っていたようでした。
 話の輪の中に入って聞いたところ...

 整形手術が失敗して、口が裂けてしまい普段は風邪を引いたときのようなマスクをしている
 出会うと「私きれい?」って聞いてくる

 その時に、社交辞令で
 「きれいですよ」
 なんて言おうものなら大変です

 「これでも?」と言ってマスクを取り
 驚いていると、かみそりのようなものを出して、顔を切り刻まれてしまうというもの(実際の被害者は居るの?ってツッコミはなしのお約束)

 車よりも速く走ることができ(それって時速何キロ?)
 つまり逃げてもムダ

 そんな最強の口裂け女にも弱点はあります
 口裂け女はポマードに弱いらしい
 「ポマード」と言うと逃げていくとか...
 
 こんな話がその当時の日本中で大まじめにテレビでも取り上げられていたわけです。

 
 
 そして
 
 その口裂け女が○月×日 XX時に、田町駅に現れるという情報が駆け巡りました
 今から思えば、その情報源を疑いもせず信じる方もどうかと思うのですが、みんな信じてしまったのです。

 そして、口裂け女を退治しに行こう!と言うことになりました
 普段やってる戦争ごっこで私たちは軍事訓練はバッチシでいつでも戦える体制を取っていたのです!

 待ちに待ったその日、学校から帰ると田町駅(当時国鉄)まで行く前に、口裂け女に殺られないようにポマードをつけなくちゃ!!っと思い親父の整髪料の入っている引き出しを漁ります。
 
 小学校の私にはポマードって初耳だったし、どれがポマードだか分からない!!
 まずビンにポマードと書かれているものが無い

 それらしきクリーム状の整髪料を取り、頭に付けて、パチンコで武装して田町駅に向かいました。

 みんなも来ていて、それぞれパチンコ、バッファローとかSS5000とかの空気銃(最近はエアガンとも言う)、銀玉鉄砲、かんしゃく玉、爆竹などの花火で武装していました。
 パトロール隊同士で連絡しあうための学研のトランシーバーもあったかな

 ところが約束の時間(誰が約束した?)になっても、口裂け女は現れません!
 みんなで田町駅周辺を手分けしてくまなくパトロールしましたが、どうも口裂け女らしき女性は見当たらない

 練習のために、かんしゃく玉をパチンコで飛ばし始める者までいました(当時子供が駅前で爆竹やかんしゃく玉で普通に遊んでいた)

 結局口裂け女は現れず、あきらめてその日は解散しました。

 その後、あきらめきれず弟と自転車でいっしょにパトロールに行ったのですが、途中で八百屋さんかどこかで話しているおばさんがマスクをしていて、そのマスクの端から少し口がはみ出ているのが見えたような気がして、弟のタケに「おい、いまのおばさんのマスクの横からはみ出した口見えたよな」と言ったら、「見えた見えた」
「あれが口裂け女かな」「でもあんまし恐そうじゃないし」
とりあえず俺等だけじゃ勝てないから、みんなに連絡するか

 でも、もう夕方遅くて、当時は携帯電話なんて便利なものは無いから家の電話に連絡するしかなく、だれも集めることができませんでしたので、攻撃はあきらめざる得なかったのでした。

 大学で、口裂け女の話をした時に、そいつは相模原のやつでしたが、やはり同じように相模原のどこどこに何時、口裂け女が来るとの噂が流れ、私たち同様に小学生なりに武装して退治に行ったと言うやつがいました。

 そいつが言うには、マスクをしている女性を見つけてみんなで総攻撃をしたため、泣かしてしまったそうです。

 このころ、女性はマスクをするのはとても危険な行為だったのです


 今ではこういった話は「都市伝説」と言われているそうですね、その頃都市伝説なんていう言葉はありませんでした。
 似たような話で人面犬というのがいたり
 東名高速を走るおばあさんの話が出たりもしましたが

 その時は、口裂け女のときのような盛り上がりはありませんでしたね
 小学校時代のなつかしいお話でした

 今では田町駅周辺も大きく変わり、ビルだらけになってしまっていますね。
 実家に帰る度に街が変わっていくのは複雑な気持ちです。
 小学校のときの友達も、地上げやら立ち退きでみんな多くが港区から離れて行きさびしいですね
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